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「スイッチ」が入った [日常のあれやこれや]

去年の暮れに今の会社の製品としてちょうどいいアイデアを思いついた。会社のために考えていたのではなくて、もう少しで終わるところのガウシアンビームの話の締めを考えていた。ガウシアンビームの品質の目安として$M^2$の話を前回やったけど、$M^2$が目安になるのは近軸波動方程式の解のうちある条件を満たしたものだけになる。ではどういう場合に$M^2$が品質の目安とは言えなくなるか、というのを計算していて面白い振る舞いを見つけた。それがきっかけになった。

ほんとはここにどういうアイデアに基づいたなんなのかを具体的に書きたいんだけど、さすがにできない。しかしこういうとき、他の人がどうなのかよくわからないけど僕の場合、普段とはちょっと違った状態になることがある。そのことを書こう....

そのアイデアで、今の会社の製品ラインナップをうまい具合に広げられると思ったので、それからずっと計算を回していた。最初は自分でも「ほんとかよ」と、どこかに計算間違いがあって全然デタラメなんじゃないか、とも思っていたけど、違う計算方法でやっても同じ結果が出たので、ちょっと自信がついた。こんどは逆にあまりに簡単なのでもうすでにみんなやり尽くして「そんなの当たり前じゃん」と言われるかもしれない、と特許を調べた。前の会社だと社内の特許検索のシステムがあって関連特許がすぐ調べられたけど、今の会社にはそんなものはなくて、結局Google Patents頼りになった。これに頼っていて大丈夫なのか、漏れてたりしないのか、と心配ではある。

ほんとにざっと見ただけだけど、同じものは見当たらなかった。しょせん回折が支配する光の場なのでなんでもできるわけはないんだけど、ある限られた分野では有用だと思ってさくっと特許を書いて、去年その関連の会社に飛び込みで話を聞きに行ったことは書いた。その結果かなり凹んでやる気なくなったんだけど、どうもまともに聞いてもらってないらしいことに気がついて、他のアプリケーションを探し始めた。

とにかく計算ではなくて物理的に確認するために原理試作をやりたい、そのためにはどうしてもこれ専用の光学素子がひとつ必要になる。それをいわゆるガラスのダイレクトカットで作ることにして、その技術を持っている会社に頼みに行った。技術的には問題がないことがわかって進めてもらうことにした。

あとは自前評価である。射出瞳での光の振幅分布と位相分布がアイデアのキモなので、まずそれを評価できるようにする。振幅分布は例によってカメラで光強度として取ればいいけど、位相の評価は結局干渉計を作るしかない。まさかZygoのちゃんとしたのをこのために買うわけにもいかず、バラックで組むことにした。オープンループのピエゾステージを使ってFringe Scanを自分で書くつもりでいる。それにもちょっとアイデアがある。



そうやって去年の暮れから会社にいる間だけではなく、うちに帰ってからや休みの日にも一人になるとあれやこれやを考え悩んだり、コードを書いては数値計算を回していた。そんなことを考えるうちに同じ路線でまた違ったアイデアを思いついた。そのための評価系をなるべく安上がりに立ち上げたい、と思って考え始めたりした。

最近には珍しく夢にまでみるようになった。面白いことに、ちょっと違ったアイデアが浮かんで目を覚ます、ということが何回もある。寒いので布団に入ったまま頭の中で反芻して忘れないようにする。起きてからメモを取ったり(メモはLaTeXに書くようになってもう数年になる)計算用のプロトタイプをMathematicaで書いたりIllustratorでメカの漫画を描いたりする。土日もなにもなければずっとそんなことをして過ごしてしまう。

こういうふうに仕事のことでひとつをずっとぐるぐる考えているのは久しぶりである。仙台に行く前、あるつてで大阪府大の持ち物を借りて、その近所の堺市産業振興センターで実験をさせてもらっていたころ以来である。そのときは僕の思いつきの開発テーマを立ち上げるのに必要な高額の開発用装置を買うために説得力のあるデータを取るのが目的だった。なかなか思うデータが取れず、夢の中でもああすれば、こうすれば、と思い悩んでいた。

そのときは最終的にはデータがとれて装置を手に入れ、それを使って仙台で量産プロセスを立ち上げた。そのころ半年ぐらい文字通り寝ても覚めてもそのことを考えていた。前の会社ではその開発からの事業化でシェアがいくら取れてどのくらい儲かるのなんていう数字がないと開発テーマにOKは出なかったんだけど、今の会社では面白そうと思えて、その費用がある範囲(それは社長の直感)に収まればあまり文句は言われない。



ところで、これまでも寝ても覚めてもそのことばかり考えてるということが会社に入ってから何度かあった。それはどれも僕が言い出しっぺの開発テーマで、ぐるぐる考えては新しいことを思いついたり、うまくいかない原因を悩んだり、装置にちょっとした改良を入れることを考えたり、ということをしていた。

こういうのってなにか「スイッチが入る」という感じがする。スイッチが入るとそのことばかり考えて、どんどん発散しては、実験や計算の結果からつぎつぎ潰れていく、という感じである。ある程度の見通しがつくか、こんなものやっぱりダメじゃんとあきらめるか、どちらかになるまでその状態が続いてしまうことが多い。他の人がどうなのか知りたい気もする。

そして僕の場合、普段の夢はなんだか中途半端に荒唐無稽でデタラメななのに、そういう「スイッチの入った」状態になると、それに関連した夢の場合には、その内容がそれほど的外れでないことが多い。しかも目が覚めてからも忘れてしまわずに頭の中で反芻して検討できるほどはっきりしている。完全には眠ってない、ということなんだろうか。寝不足感はないんだけど(それは歳のせいか午後十時ごろにはもう白河夜船というせいかもしれない)。

結局は自分が思いついたアイデアには愛着というか執着があるということなんだろう。自分のアイデアへの執着はその実現のためにはいい傾向なんだろうけど、こんなふうにいったん「スイッチ」が入ると他のいっさいが背景に退いてしまう。特に、必要なんだけどやる気が起きない雑用は後回しに、というか頭の中から出て行ってしまって完全に忘れてしまう。まあ、他人に言わせれば、普段からできてないじゃん、いつもとなんも変わらんがな、ということなんだろうけど。
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sweet

J-PlatPatではダメでしょうか?
国内限定で、有料の検索データベースと比べて機能が見劣りするのは事実ですが、Google Patentsよりは使い勝手が良いと思うのですが。
by sweet (2018-01-23 22:34) 

decafish

コメントありがとうございます。
たしかにずっと使いやすいです。中身が見やすいですね。図のサムネールもGoogleよりちゃんとしてます。
なぜか同じキーワードを設定してもJ-PlatPatとGoogle Patentsでは結果が同じではないみたいです。日本語の全文検索の問題でしょうか。

今回のはUSでの関連が多いので、USPが検索できてこのくらいのはどこかにないでしょうか。
by decafish (2018-01-24 09:01) 

sweet

挙げるとすれば、Espacenet(https://worldwide.espacenet.com/) だと思いますが、J-PlatPatほど使いやすくはないと思います。詳細条件を設定する検索は、画面左上方の"Advanced Search"です。

あとは、米国特許庁(http://patft.uspto.gov/)になると思いますが、これも似たような感じだと思います。

どちらも使い方は、googleで色々出てくると思います。

データベース間の差違についてですが、普段は商用データベースをメインにして、J-PlatPatやEscapenetは補助的に使っているので、お答えできるほどの知識を持ち合わせていません。申し訳ありません。
by sweet (2018-01-24 20:56) 

とおりすがり

j-platpatの「テキスト検索」では、米国公報の和文抄録を対象として検索が可能です。
ただしUSでの公報発行から和文抄録作成までのタイムラグがあるため、残念ながら最新の公報(直近1年分くらい)はデータベースに未収録です。

なお公報全文ないし原文は「外国公報DB」で公報番号を入力することで確認可能です。

ご存じかもしれませんが、以上ご参考まで。
by とおりすがり (2018-01-24 22:09) 

decafish

いろいろありがとうございます。
訊いてみるものですね。EPOのページも全然知りませんでした。
確かにJ-PlatPatのテキスト検索に「米国特許和文抄録」のチェックボックスがあって、USPも表示されます。
US**の番号さえわかればあとはなんとでもなるはずなので、無精せずにちゃんと見なさい、ということですね。

僕は、前の会社ではいろいろお膳立てがあってそれに乗っかっていたので、スポイルされていたようです。

ありがとうございます。
by decafish (2018-01-25 09:03) 

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