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ガウシアンビームの光学 - その15 [ガウシアンビーム]

あともう少しで一番やりたかったことに到達できる。ちょっと片付け感があるかもしれないけど、ガウシアンビームの続き。これまでで「Helmholtzの方程式」「平面波解」「近軸波動方程式への近似」「軸対称方程式」「解の仮定」「解の具体的な定式化」「ビームのエネルギー」「積分定数$z_R$の物理的な意味」「$z_R$の限界」「放物面波解」「Gouy位相」「非軸対称解」「さらに高次の解」「Fourier変換による解の表現」とやってきた。

今日はFraunhofer回折を計算してみる.....

5  ガウシアンビームの回折

全空間に一様に広がった場以外では、伝播に伴って必ず回折を受けて変形する。ガウシアンビームも全空間に広がっているが、$z$の方向へはそのプロファイルがガウシアンのまま変化しない、という場になっている。ガウシアンビームの無限遠での回折であるFraunhofer回折を考えてみる。

といっても$z=0$でのガウシアンビームの場の式をFourier変換するだけである。Fourier変換は前回やってしまったけど、振幅や位相の成分を除いてFraunhofer回折を計算してみる(後の都合で前回とは違ったノーテーションになっているけど、物理的な意味は全く同じ)。 \begin{align} \Psi_0(\xi, \eta) &\propto \int_{-\infty}^\infty \int_{-\infty}^\infty \phi_0 \Big|_{z=0} \exp \left(\frac{i k}{z} (\xi x+\eta y) \right) dx dy \nonumber \\ &= \int_{-\infty}^\infty \int_{-\infty}^\infty \exp\left(-\frac{k(x^2+y^2)}{2z_R} \right) \exp \left(\frac{i k}{z} (\xi x+\eta y) \right) dx dy \\ &= \frac{2\pi z_R}{k}\exp \left(-\frac{k z_R}{2z^2}(\xi^2+\eta^2)\right) \end{align} となる。あってるかな。これは$z \rightarrow \infty$のときに成り立つ式(Fraunhofer回折)なので \begin{equation} \theta^2 = \frac{\xi^2+\eta^2}{z^2} \nonumber \end{equation} という角度$\theta$の式とみなして、さらに$k=2\pi /\lambda$とおくと \begin{equation} \Psi_0(\theta) \propto \lambda z_R \exp \left(-\frac{\pi \theta^2 z_R}{\lambda} \right) \label{fraunhofer} \end{equation} となる。これがFraunhofer回折によるガウシアンビームの無限遠での分布である。

一方でずいぶん前の話になるけど、$z \rightarrow \infty$では、強度が$1/e^2$になる角度は$\theta = \sqrt{\lambda /\pi z_R}$に漸近するということを導いた。したがって$z \rightarrow \infty$ではガウシアンビームは \begin{equation} \Psi_0(\theta) \propto \exp \left(-\frac{\pi \theta^2 z_R}{\lambda} \right) \end{equation} となるはずであって、これは式-\ref{fraunhofer}と係数を除いて一致している。

つまり、あたりまえのことではあるけど、ガウシアンビームをずっと無限遠まで飛ばすとちゃんとFraunhofer回折になる、したがってガウシアンビームは伝播してもガウシアンビームのままであるということがFrauhofer回折の近似のレベルで保証されている、ということがわかる。

前々回やったエルミート多項式を含む高次モードでも同じ議論ができる(はずである。煩わしい式になるので僕はやらないけど)。つまり例えば強度のピークが6つ並んだ$(3,2)$モードみたいなへんなモードでも遠くで崩れることはなく、6つのピークが並んだまま伝播する、ということになる。それはそれで面白い。

たまに内部の欠陥なんかで最低次のモードでは光らなくなったけど、かろうじて発振はしているというような半導体レーザでは、結晶成長と垂直な方向にふた山(エルミート多項式の$n=1$)、あるいはみっつ(エルミート多項式の$n=2$)の光強度分布になっていることがある。いわゆる半殺し状態だけど、顕微鏡でニアフィールド(発光端面での強度分布)を見てみると、そこですでにふた山みっつ山になっていることが観察できる(みっつの場合は両側のピークの強度は低いので顕微鏡ではわかりにくいかもしれない)。

まさしくここでの結論が観察できるわけである。ただしもちろん半導体レーザの発光点を顕微鏡で覗きこむときは注意したほうがいい。できれば裸眼ではなくカメラが使えればそっちのほうが安全である。
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