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ガウシアンビームの光学 - その12 [ガウシアンビーム]

これまでで「Helmholtzの方程式」「平面波解」「近軸波動方程式への近似」「軸対称方程式」「解の仮定」「解の具体的な定式化」「ビームのエネルギー」「積分定数$z_R$の物理的な意味」「$z_R$の限界」「放物面波解」「Gouy位相」なんかをやってきた。

前回まででガウシアンビームの教科書的なお話はひと段落。今日は回転対称ではない解について。このへんからだんだん怪しくなってくる.....

4  高次の解の探索

近軸方程式は斉次の線形方程式なので独立な解は無限にあって、ガウシアンビームはそのひとつでしかない。基礎的であるという意味でガウシアンビームは最も重要だけど、それ以外の解もすこし見ておきたい。ただし僕は半導体レーザ応用として考えているだけなので、全部の解を網羅しようなどとは思っていない。ここでは「こっち方向にあるよ」というだけにする。

4.1  軸非対称ガウシアンビーム

前節まででは軸対称な近軸波動方程式の解を扱ってきた。これが一番簡単なんだけど、もうすこし自由度のある、でも複雑さの少ない形を考えてみよう。円筒座標を入れる前の近軸波動方程式である式-3:5 \begin{equation} \left( \bigtriangledown^2_T +2ik \frac{\partial}{\partial z} \right) \psi(x,y,z) = 0 \nonumber \end{equation} の解として次のものを仮定する。 \begin{equation} \psi_0 \propto F(z) \exp \left(- k\frac{x^2}{2g_x(z)} \right) \exp \left(- k\frac{y^2}{2g_y(z)} \right) \end{equation} つまり回転対称な式-5:1のかわりに、形は全く同じだけど$x$方向と$y$方向で違うとしよう。これを円筒座標ではなく、もとの直交座標の近軸方程式の式-3:5に代入すると、式-5:2のかわりに

\begin{align} &\frac{k^2}{g_x^2(z)} \left( 1 + i \frac{dg_x(z)}{dz} \right)x^2 + \frac{k^2}{g_y^2(z)} \left( 1 + i \frac{dg_y(z)}{dz} \right)y^2 \nonumber \\ &+ k \left( \frac{2i}{F(z)} \frac{dF(z)}{dz} - \frac{1}{g_x(z)}- \frac{1}{g_y(z)} \right) = 0 \label{assumedequation1} \end{align}

となる。回転対称な場合と同じように$x^2$に依存する項、$y^2$に依存する項、どちらにも依存しない項をそれぞれ0とおくと \begin{align} \frac{dg_x(z)}{dz} &= i \nonumber \\ \frac{dg_y(z)}{dz} &= i \\ \frac{2i}{F(z)} \frac{dF(z)}{dz} &= \frac{1}{g_x(z)} + \frac{1}{g_y(z)} \nonumber \end{align} という3つの方程式をそれぞれ同時に満たさないといけないということになる。

ひとつめふたつめは回転対称な場合と全く同じなので \begin{align} g_x(z) &= iz+z_{Rx} \nonumber \\ g_y(z) &= iz+z_{Ry} \nonumber \end{align} となって同じように$F(z)$は \begin{align} \frac{dF(z)}{dz} &= \frac{F(z)}{2i} \left(\frac{1}{iz+z_{Rx}} + \frac{1}{iz+z_{Ry}}\right) \nonumber \end{align} となる。これは回転対称の時に比べて積分が難しくて悩むけど、$-1/2$乗の積の形を思い浮かべることができれば試行錯誤的にでも求まって、 \begin{equation} F(z)=\frac{1}{\sqrt{i z + z_{Rx}}\sqrt{i z +r_{Ry}}} \nonumber \end{equation} の形だとわかる。係数の2がちょうど$-1/2$乗の微分の係数をキャンセルしてくれる。

従って解としては \begin{equation} \psi_0 \propto \frac{1}{\sqrt{i z + z_{Rx}}}\exp \left(- k\frac{x^2}{2(i z + z_{Rx})} \right) \frac{1}{\sqrt{i z + z_{Ry}}} \exp \left(- k\frac{y^2}{2(i z + z_{Ry})} \right) \end{equation} となって、$z_{Rx}=z_{Ry}=z_R$とすれば回転対称な場合の解である式-6:1と一致することがわかる。

また$x$方向と$y$方向それぞれに1次元のガウシアンビームとみなすことができて、片方がもう一方に影響を及ぼすということがない、ということがわかる(変数分離に伴う定数がナマに現れない)。従って(次元が一つ低いことに注意すれば)回転対称な場合のガウシアンビームの議論はそのまま成り立つということになる。

簡単でわかりやすいので詳細は繰り返さない。ただし平方根の中に虚数単位が入ってるのでGouy位相の計算は大変で、手計算では厳しい。

Mathematicaにやらせると \begin{equation} \frac{1}{\sqrt{i z + z_{Rx}}\sqrt{i z + z_{Ry}}} = \frac{\displaystyle \exp -\frac{i}{2}\left( {\rm arg}(i z+z_{Rx})+{\rm arg}(i z+z_{Rx})\right)} {\left((z^2+z_{Rx}^2)(z^2+z_{Ry}^2)\right)^{1/4}} \nonumber \end{equation} みたいな式を返してきた。もうちょっと手で変形して$z_{Rx}=z_{Ry}=z_R$とすれば$\exp$の係数部分が前に書いたGouy位相の式に一致することが確かめられる。

ようするにそれぞれのGouy位相の平均になる、ということである。ちゃんと書いてある教科書が僕の手に入る範囲では見当たらなくて答え合わせができなかったけど、たぶんあってる(と思う)。

ところで、半導体レーザは劈開した結晶端面をミラーにする超小型のファブリペロー共振器になっているけど、共振器の断面が長方形(結晶成長方向には短く、その垂直方向には長い)になっているのが一般的なので、そのガウシアンビームは今日やった$x$と$y$に変数分離できる形の解になる。半導体レーザを扱うなら、この解をじっくり調べるに越したことはない。
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