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ガウシアンビームの光学 - その6 [ガウシアンビーム]

どうも先週月曜あたりからテレビやネットのニュースを見終わると、なぜか頭の中に「ウメ星デンカ」が残っていることがある。まあそんなことはどうでもいいけど、こないだからやってるガウシアンビームを自由空間の波動方程式から導こうと言う話。その1でHelmholtzの方程式を、その2でその解として平面波を、その3では$z$方向にはおおむね平面波的に伝播する近似を入れた近軸波動方程式を、その4では軸対称解を探すために方程式を変形して、前回のその5ではガウシアンの形を仮定して軸対称な近軸波動方程式に代入してみた。

今回は具体的なガウシアンビームの解を導く。数学は今日でおしまいで、次からは物理学の話になるはずである....

前回とちゅうまで計算したふたつめの式にある$F(z)$のほうは$g(z)$と自分自身を含んだ常微分方程式になっているけど簡単に積分できて($z$で微分するのと$z$の1次の多項式の$-1$乗をかけるのが同じ、しかもうまいぐあいに$z$の前の係数$i$が式全体にもかかっている、という方程式なので) \begin{align} \frac{dF(z)}{dz} &= -\frac{iF(z)}{g(z)} \equiv -\frac{iF(z)}{iz+z_R} \nonumber \\ F(z) &= \frac{C}{-z+i z_R} \nonumber \\ &= -\frac{i C}{i z+z_R} \nonumber \\ &= -C \frac{z+i z_R}{z^2+z_R^2} \nonumber \end{align} となる(微分してみれば確認できる)。ここでまた$C$は積分定数である。この$C$も長さの次元を持っていなければいけない。

これで解は求まったことになって具体的に書いてみると

\begin{equation} \psi_0 = - \frac{iC}{iz+z_R}\exp \left(-\frac{kr^2}{2( i z + z_R)} \right) \label{formalsolution} \end{equation} となる。

2.3.2  物理的な意味のわかりやすい解の形

あとの整理のためにさらに変形しておく。

\begin{align} F(z) &= -C\frac{z+i z_R}{z^2+z_R^2} \nonumber \\ &= -\frac{C}{z_R}\frac{(z/z_R)+i}{1+(z/z_R)^2} \label{pzim} \end{align}

と書き直す。このあとの都合でちょっと内緒の細工をする。

\begin{equation} F(z) = i\frac{C}{z_R}\frac{i(z/z_R)-1}{1+(z/z_R)^2} \label{pzim1} \end{equation}

として虚数単位$i$を係数として取り出しておく。

さらにこのうしろの係数の分子を複素数の偏角と大きさに書き直すと($z_R$が正の実数なので) \begin{equation} i\frac{z}{z_R}-1 = \sqrt{1+(z/z_R)^2}\exp i\arg(i( z/z_R) -1) \nonumber \end{equation} とすることができる。ここで$\arg$は複素数の偏角をとる、という意味である。偏角ってふだんあまり使わないのでピンとこないけど、これは \begin{equation} \arg(i( z/z_R) -1) = -\tan^{-1}\frac{z}{z_R} \nonumber \end{equation} であることは複素平面上で幾何学的に考えればわかるので、式-\ref{pzim1}の続きを書くと \begin{equation} F(z)= i\frac{C}{z_R} \frac{1}{\sqrt{1+(z/z_R)^2}} \exp \left( -i \tan^{-1} \frac{z}{z_R} \right) \nonumber \end{equation} となる。ここで先頭の係数$iC/z_R$は無次元の定数で$\psi_0$全体にかかる係数になる。従って線形な方程式の解としては影響が無いので、符号も含めて落としてしまう($C=-iz_R$として全体を1にする)ことにする。式-\ref{formalsolution}は大きくなってしまうけどもう少し物理的にわかりやすい形の \begin{align} \psi_0 &= \frac{1}{\sqrt{\displaystyle 1+(z/z_R)^2}} \exp \left(-\frac{kz_Rr^2}{2(z^2+z_R^2)} \right) \label{axialsolution} \\ &\hspace{25mm}\times \exp \left(i\frac{kzr^2}{2(z^2+z_R^2)} \right) \exp \left(-i \tan^{-1} \frac{z}{z_R} \right) \nonumber \end{align} となる。これは近軸波動方程式を満たす、ということになる。

ところでさっき、内緒の細工をしたけどそれは式-\ref{axialsolution}の位相の係数が$z=0$で0になるようにするためで、そのままだと$\exp (\pi/2-i \tan^{-1}(z/z_R))$なんていう格好になってしまう。固定の位相は物理的に意味がない(どこを基準にとるかという問題)ので、最終的に現れず途中の式の変形が簡単になるようにしたかっただけである(変形の仕方によっては出てこなくできるけど、僕のやり方では回りくどくなってしまう)。うさんくさい、などと思わないでほしい。

さて、式-\ref{axialsolution}はわずらわしいので適当な変数を導入して簡単にする。 まず

\begin{equation} w_0 = \sqrt{\displaystyle \frac{2z_R}{k}} \end{equation}

という定数と

\begin{equation} w(z) = w_0 \sqrt{ 1+(z/z_R)^2} \label{beamradius} \end{equation}

という$z$の関数$w(z)$を導入する(これでexpの中身が簡単になる)。 さらに

\begin{equation} R(z) = z\left( 1+ \left( \frac{z_R}{z} \right)^2 \right) \end{equation}

という$z$に関する関数と残りの部分

\begin{equation} \zeta(z) = -\tan^{-1} \frac{z}{z_R} \end{equation}

を導入する。もともとの積分定数である$z_R$が決まると、$w_0$も定数として確定して、ほかも$z$に依存するけどその形は一つに決まってしまって、解としては$z_R$が決まると(位相を含めた定数倍をのぞいて)一意に決まる、ということになる(そういう自由度はひとつだったので当然である)。

平面波にはそういう独立なパラメータはなかった。平面波の積分定数は場の振幅になるだけで、線形な方程式の解としてはパラメータにはなりえない(他の解と重ね合わせるときには意味があるけど、それは線形な方程式の解はみな同じ)。

今のところ$z_R$は長さの次元を持つ積分定数という意味以上のものを持っていない。従ってどんな値でもとりえる。あとのほうで物理的に意味のあるパラメータの範囲を考えてみることにする。

そういう簡単化の定数と$z$の関数を使って解は

\begin{align} \psi_0 e^{ikz} =& \frac{w_0}{w(z)} &\mbox{A} \nonumber \\ & \times \exp \left(-\frac{r^2}{w^2(z)} \right) &\mbox{B} \nonumber \\ & \times \exp \left( i \frac{kr^2}{2R(z)} \right) &\mbox{C} \nonumber \\ & \times \exp \left(i \zeta(z) \right) &\mbox{D} \nonumber \\ & \times \exp \left(i k z \right) &\mbox{E} \label{tem00mode} \end{align}

となる。

最後の係数にこれまで落としてきた$z$方向に伝播する波を表す係数Eを付け足した。

これをガウシアンビームと呼ぶ(TEM${}_{00}$モードの、という限定を付ける人もいる。僕はそれは「頭痛が痛い」「白い白馬」「永久に不滅」だと思っているけど、そういう限定をつける人は後でやるつもりの高次のモードも当然「ガウシアン」だと呼ぶんだろうな)。


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