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ガウシアンビームの光学 - その4 [ガウシアンビーム]

ガウシアンビームを自由空間の波動方程式から導こうと言う話の続き。その1でHelmholtzの方程式を、その2でその解として平面波を、その3では$z$方向にはおおむね平面波的に伝播する近似を入れた近軸波動方程式を導いた。

今回はその近軸波動方程式の解のうち平面波の次に簡単そうな、$z$軸周りに回転対称な解を探す準備をする....

2  近軸波動方程式の軸対称解

この近軸波動方程式-3:5に対してこれまでしてきた仮定を思い出すと、この方程式は波動方程式の$z$方向に平面波的に伝播する特別な解を前提にする方程式で、さらにその伝播方向には波の包絡線はすごくゆっくりとしか変化しないような、$z$に向かってだけはだーっと広がっているような、でもそれに垂直な方向には普通の光の場と同じように振る舞うような、そういう解が満たすべき方程式である、ということになる。

具体的に可視光の領域を考えると、$z$の方向に伝搬する波長に比べると$x$や$y$の方向には人間の目には見えないような$\mu$mのオーダの変化があってもいいけど、$z$の方向には人間の目で十分追える程度の変化しかない、というような波を探そう、ということである。

ちょっと考えると、$x$、$y$方向には細かく変化するのに、それが$z$方向には現れない、というなんだか都合のいい方程式ということになって、おかしいのではないか、と疑問がわく。

Helmholtzの方程式を導いたところで場所に関する変数分離 \begin{equation} E(x,y,z,t) = X(x)Y(y)Z(z)T(t) \nonumber \end{equation} はできない、としたけど、それでは$x$や$y$での細かな動きが$z$にも現れる、ということになるはずである。そうでない、ということは近軸波動方程式の解は少なくとも \begin{equation} E(x,y,z,t) = R(x,y)Z(z)T(t) \end{equation} でないとつじつまが合わないと思える。しかし、このあと導く近軸波動方程式の解は$z$に関して変数分離されている形にはならない。実はそれは$x$や$y$に関してほんの一カ所をのぞいてそれほど細かく変化する解ではい。つまり空間のある一カ所でだけ場が急激に変化してそれ以外ではゆっくりとした変化しかない解である。その意味でも面白いので、まじめに導く予定である。

ところで、近似が入ったせいで、$z$だけ特別扱いするように対称性が破れてしまう。従ってこの近似は相対論的ではない、ということになる。それは例えば近軸波動方程式の解が、それに相対的に等速運動する別の人から見たときには解に見えなくなる場合がある、ということになる。でもまあ、それはこの方程式の応用を考える上ではあまり重要ではない。

でも、非相対論的なこの式はなんとなく見覚えがある。2階微分があって、虚数単位のかかった1階微分との斉次方程式というとこれですな。 \begin{equation} \left( \frac{\hbar}{2m}\bigtriangledown^2+ i \hbar \frac{\partial}{\partial t} \right)\psi = 0 \nonumber \end{equation} ポテンシャルのないところでの単一粒子のシュレーディンガー方程式。見た目はそっくり、定数が違ってるのと時間$t$が$z$方向と入れ替わっているぐらい、ということは数学的な扱いは共通する部分が多い、ということになる。ただし、2階微分が2次元なので空間の自由度が一つ少ない。なのでシュレーディンガー方程式を解く話ですぐ出てくる極座標表示(水素原子を扱うときなんか)にはならない。まあでも見覚えのある形はまた出てくるかもしれない。そのときは昔の勉強が役に立つだろう。

またもちろん、$z$軸を特別な方向にとったけど、それに意味があるわけではない。単一の平面波を考えるときに、伝播方向を$z$にとるのと同じである。

2.1  近軸波動方程式のもっとも簡単な解

まず、例によって一番簡単な \begin{equation} \psi(x,y,z) = C \hspace{3mm}\mbox{(定数)} \nonumber \end{equation} を考えればこれは式-3:5を満たすことがあきらかである。これは$z$方向に進む平面波であって、近軸波動方程式-3:5の解となっている。つまり近似を導入する前の解だった平面波は、近軸波動方程式の解でもある、ということになる(変数分離した時間に関する常微分方程式と式-3:3から式-3:5にしたときに落とした$z$に依存するベキの係数を思い出してみればわかる)。

しかし平面波はこの近軸波動方程式の(全部が0の解を別にして)いちばんトリビアルな解で、これだけではめんどくさい近似を入れてきた意味がない。

比較的簡単で、この方程式特有の解を探すことにする。

2.2  軸対称な方程式への書き換え

とりあえず簡単化のために$z$軸のまわりに対称な解を探すことにする。そのために円筒座標 \begin{align} x &\rightarrow r \cos \theta \nonumber \\ y &\rightarrow r \sin \theta \nonumber \\ z &\rightarrow z \nonumber \end{align} を使って近軸波動方程式を書き換えてみると、 \begin{equation} \frac{1}{r}\frac{\partial}{\partial r} \left(r \frac{\partial \psi}{\partial r} \right) + \frac{1}{r^2}\frac{\partial^2 \psi}{\partial \theta^2} +2ik \frac{\partial \psi}{\partial z} = 0 \end{equation} となる。これはよくある式の変形で導き方はよそですぐみつかるので、ここではやらない。

そして$\psi$そのものが軸対称だとすると$\theta$に関する微分はなくなって \begin{equation} \frac{1}{r}\frac{\partial}{\partial r} \left(r \frac{\partial \psi}{\partial r} \right) +2ik \frac{\partial \psi}{\partial z} = 0 \label{rotationalsymmetry} \end{equation} と、さらに簡単になる。
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