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ガウシアンビームの光学 - その1 [ガウシアンビーム]

ずっと前近軸方程式からガウシアンビームを導くのをここでやろうと思っていた。それは
  1. 僕を含めた光学屋は平面波ばかりを扱って、悪く言えば「平面波ボケ」になってるのではないか
  2. 近軸方程式の扱いはそれほど難しくないのに、それなりに数学に味わいがある
  3. 僕は今半導体レーザを仕事で扱っていて、そこではガウシアンビームは基本の「キ」である
のでちょっと違うことをじっくり楽しみながらやりたいと思って先日始めた(もう去年のことになってしまった)。だけど何だったか先に済ませたいことができてほったらかしになっていた。これを再開して続きを書きたい。

でも式の埋め込みにMathJaxを使いたいので、完全に重複するけど、もう一度最初からやることにする。今回から普通にams-LaTeXで書く。ところでずっとLaTeX→HTML+MathJaxコンバータがないか探していたんだけど、なかなかいいのが見つからない。どうせ難しげなHTMLは書かないので、いいのが見つかるまで手動で変換することにした。ただし表なんかはめんどくさいのでtthに変換させてこぴぺすることにする。やってみると僕の場合それで十分なことがわかった。

それとひとこと最初に注意しておく。基本的には普通の教科書に載っているやりかたを踏襲するつもりだけど、これは「教科書」ではありません。間違いもあるだろうし、無駄なことやかえってわかりにくくなるようなことも書く。僕の揮発性の高い記憶力(高蒸気圧はMSDSに注意喚起しておかないといけないな。蒸気を吸うと鋭い忘却力がうつります)を補助するためとボケ防止のため、そしてそれを他の人と共有したり議論したりするために書く。

もちろん勉強中の学生さんとかに突っ込んでもらうのは大歓迎である。ただし、別にもう一つ頼りになる教科書を持つなり、途中の計算をちゃんと自分でチェックするなりしていただきたい。鵜呑みにしたら痛い目に会います。今から予言しておきます(予言とは言わんか)。

それでは、とざい、とーざい。まだまだ申し述べたき口上は数々ございますれども、長口上は芸当番数の妨げ、自由空間の波動方程式からスタートいたしまする....

1  近軸波動方程式

2.1  スカラの波動方程式

ここではもちろん古典論の範囲を前提にする。つまり相対論的な効果や物質のミクロな構造は問題にならないような、
  1. 動いていない(慣性系に固定された)
  2. 原子に比べて十分大きな体積で平均化された
場を考える。

とはいうものの、せっかくなのでなるべく基礎的なところから始めることにして、自由空間の波動方程式
\begin{equation} \left( \bigtriangledown^2-\epsilon \mu\frac{\partial^2}{\partial t^2} \right)\vectorize{E}(x,y,z,t) = 0 \end{equation}
から出発しよう。言わずもがなだけど
\begin{align} \bigtriangledown &\equiv \vectorize{i}_x\frac{\partial}{\partial x} + \vectorize{i}_y\frac{\partial}{\partial y} + \vectorize{i}_z\frac{\partial}{\partial z} \nonumber \\ \bigtriangledown^2 &\equiv \bigtriangledown \cdot \bigtriangledown \equiv \frac{\partial^2}{\partial x^2} +\frac{\partial^2}{\partial y^2} +\frac{\partial^2}{\partial z^2} \nonumber \end{align}
である。$\vectorize{i}_x$、$\vectorize{i}_y$、$\vectorize{i}_z$はそれぞれ$x$方向、$y$方向、$z$方向の単位ベクトルである。
そもそも、自由空間とは
  • 電荷と電流が無い
  • $\epsilon$、$\mu$が時間に生に依存しない
というような場合で、真空中や観測者に対して動いていない誘電体の中のような場合である。波動方程式はMaxwellの方程式に自由空間の条件を入れて整理すれば簡単に導ける。というか、Maxwellの方程式から波動方程式が導ける条件を満たす時空のことを自由空間と呼ぶ、と言ったほうが手っ取り早い。

式-1はベクトルの方程式だけど、さらに偏光も無視してスカラの方程式

\begin{equation} \left( \bigtriangledown^2-\epsilon \mu\frac{\partial^2}{\partial t^2} \right)E(x,y,z,t) = 0 \label{scalarwaveequation} \end{equation}

を、これからは考えることにする。

偏光を無視するということはどういうことなのか、というのは今の時点で「これこれこういう条件を満たす」と具体的にいうことは難しい。解が得られたときに偏光を考慮して矛盾しないか、というフィルタを通して見るということを忘れないようにしないといけない。

1.1.1  波動方程式の一般解

スカラの波動方程式には簡単な解$U_0(x,y,z,t)$

\begin{equation} U_0(x,y,z,t)=f_0(a_0 x+b_0 y+c_0 z- d_0 t) \label{generalsolution} \end{equation}

がすぐみつかる。$f_0$はなんでもいい、滑らかな(2回微分が存在するような)任意の実数値一価関数で、あとは \begin{equation} a_0^2+b_0^2+c_0^2 = d_0^2 \epsilon \mu \nonumber \end{equation} を満たしていればよくて、つまりこの形をしてさえいれば波動方程式は自動的に満たされる。それを確かめるには例えば \begin{equation} \frac{\partial^2}{\partial x^2}f_0(a_0 x+b_0 y+c_0 z-d_0 t) = a_0^2 f''_0(a_0 x+b_0 y+c_0 z-d_0 t) \nonumber \end{equation} であることを考えれば、あとは同じなのですぐなっとくできる。

ちなみに$t$の項の前の負符号は、解としてはどうでもいい(符号が違っても解になる)。しかしこうしておくと$d>0$のときには、時間が経つと関数の形がベクトル$(a_0, b_0, c_0)$の方向に移動する、つまりこの方向に進んでいく、となるのでわかりやすい、というためである。

ところでいきなりちょっと脱線だけど、波動方程式に含まれる時間微分の項の前のマイナス符号は実数値解が得られるためには重要であることがわかる。この符号は特殊相対論での時間軸の特殊性(空間軸と同じ扱いを受けるけど解釈のされ方が違う、さらにローレンツ変換がちょっとみ座標回転のようだけどよく見ると違っている)につながっている。しかし今回はそれはあまり関係ない。

また式-\ref{scalarwaveequation}は線形の方程式なので、 \begin{align} U(x,y,z,t) &= \alpha U_0(x,y,z,t)+\beta U_1(x,y,z,t) \\ U_1(x,y,z,t) &=f_1(a_1 x+b_1 y+c_1 z- d_1 t) \nonumber \\ a_1^2+b_1^2+c_1^2 &= d_1^2 \epsilon \mu \nonumber \end{align} のような$U(x,y,z,t)$($\alpha$、$\beta$はやはりなんでもいい)も解になる。

この$U(x,y,z,t)$に対して初期条件や境界条件を付加すれば解が求まる、ということになる。こう書くと簡単みたいだけど、$U(x,y,z,t)$はあまりに一般的すぎて特別な場合以外は役には立たない。しかしまあ一般的な性質を知る上では有用である。

1.2  Helmholtzの方程式

波動方程式のような微分方程式は、変数分離で空間部分と時間部分を別々に考えることが可能な場合がある。つまり

\begin{equation} E(x,y,z,t) = A(x,y,z)T(t) \label{variableseparation} \end{equation}

と書けるとすればこれを波動方程式に代入して \begin{align} \left( \bigtriangledown^2-\epsilon \mu\frac{\partial^2}{\partial t^2} \right)A(x,y,z)T(t) &= 0 \nonumber \\ T(t)\bigtriangledown^2 A(x,y,z) - \epsilon \mu A(x,y,z) \frac{\partial^2}{\partial t^2}T(t) &= 0 \nonumber \end{align} 式-\ref{variableseparation}の$A(x,y,z)$と$T(t)$は恒等的に0ではない(ずっと0だとつまらない解にしかならない、一瞬0になるかもしれないけど)ので \begin{equation} \frac{\bigtriangledown^2 A(x,y,z)}{A(x,y,z)} = \epsilon \mu \frac{\displaystyle \frac{\partial^2}{\partial t^2}T(t) }{T(t)} \nonumber \end{equation} で別々の変数を含んだ両辺が等しくなるためにはそれぞれが定数ではければいけないので

\begin{align} \left(\bigtriangledown^2+k^2 \right) A(x,y,z) &= 0  \label{spacial} \\ \left(\frac{d^2}{dt^2} + \omega^2 \right)T(t) &= 0 \label{temporal} \end{align}

のふたつの独立な方程式に分解できて、それぞれを解いてかけ算すればいい(式-\ref{temporal}は単一の変数$t$に関する常微分方程式なので微分記号も常微分に変えてある)。

ただし$k$と$\omega$はいわゆる分離定数である。一般の方程式の場合はひとつの定数で書くけど、電磁場では後の便利のためにふたつ使う。当然定数の自由度としてはひとつぶんしかないのでそれぞれが勝手な値をとるわけではなくて

\begin{equation} \frac{k^2} {\omega^2} = \epsilon \mu \label{dispersion} \end{equation}

という関係がある。この式-\ref{dispersion}を分散関係と言う。

この調子では「さわり」はまだまだ先だな。
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